昼前にコザから62番のバスで北谷(ちゃたん)の美浜(みはま)へ向かう。Kyuリーグ、FC琉球の沖縄開幕戦というふれこみの対V・ファーレン長崎。会場は北谷陸上競技場。
謝苅を抜け58号線を渡ったところでバスを降り美浜食堂で昼食。トンカツを頼んでみた。まずくはないけれど、やはり、中部病院前の“かおる”の方が上等。ただし量では美浜食堂の勝ち。世間的には一長一短かと思う。ただ50歳に近いぼくとしては、やはり旧具志川、現うるま市の“かおる”に軍配をあげる。量はそこそこでもおいしいものがいい。
食事後、スタジアムに向かう。途中、右手にジャスコ、左手には毎年2月に中日ドラゴンズがキャンプを張る北谷球場がある。
目的の北谷競技場はバックとサイドが芝生席となっているので、フットボール者としてメインスタンドでの観戦を選択した。しかしチケット売り場が不明。ネットでの情報によると入場料1000円のはずなのだが、チケットを買える場所が見つからない。探しているうちになんとなく階段をあがったりしているとメインスタンドの長崎側の場所に入ってしまった。同行した人間はFC東京ファンなので、これでFC東京ファンのスタジアムの無料入場突破は沖縄でも行われたということになる。わからなかっただけだが、ユユシキ問題ではないだろうか(大笑)。
メインスタンドのうしろは北谷の海。北谷は沖縄の人間にとってここ数年の天久(あめく)神話以前からトレンディスポットとしての地位を維持しつづけている土地柄。FC琉球の試合を行うロケーションとしては成功なのかもしれないと思ったりもする。
試合がはじまる。FC琉球は個人技を中心とした80年代のブラジウみたいなチームだった。監督がジョージなので(与那城ジョージ)なのでさもありなん。対する長崎は昨年まで有明FCという名前だったチーム。国見OBを中心とした、しっかりとした守備と中盤の構成力。組織だったプレーが目を見張る。正直FC琉球の先制点が決まるまでは長崎の方がいい試合をぶりだったように感じる。
応援団についていうと長崎は3人。メインのアウェイ側に陣取るというJFL以下のカテゴリーではよくあるパターン。対してFC琉球はバックのピッチ上にメガホン応援を中心とした団体が陣取る。この姿、Jリーグファンなら柵のない臨海を想像してみるといいだろう。
ところで応援についていっておくと、長崎はかなりクルバ的な雰囲気が漂うものだった(三人だが)。その中でも、長崎ご当地食い物羅列応援、たとえば「カステラ長崎、カステラ長崎」「ちゃんぽん長崎、ちゃんぽん長崎」などといったあたりはわけわからんが好感が持てた(笑)。へんな外国被れをするよりも如何に土地柄を前面に出すか。それがフットボールの応援には大切かと思う。JリーグからJFLまでは勘違いした、かっこつけたチームが多い現状を考えれば個人的に、わけわからんが、OKだ(笑)。とくにJFLの英国意識したようなマヌケな応援に比べればご当地意識を前面に出すことはまったくもって正しい。
一方の、琉球。基本的にはよくあるJリーグ的応援なのだが、唯一、はまったのだが「ちゅら、ちゅらぁ~、ちゅら、ちゅらちゅららら、ちゅらちゅらぁ~、ちゅらゴール」というコール。「ちゅら=美ら」と現代うちなー口では書くのだけれど、日本語学的にいうと「ちゅら=清ら」。意味は「美しい」とか「きよらからですがすがしい」といった意味になる「ちゅら」だが、「ちゅらゴール」というと、まっこと英語でいう「ビューティフル・ゴール」といったあたりのニュアンスが漂う。
そんなコールが登場した数分後、FC琉球の得点は日本フットサル代表でもあるリカルド比嘉のフリーキック一閃。ゴール左隅に決まり、1-0。押されまくっていたのだけれど先制だ。メインもバックも大騒ぎ。チームカラーであるベンガラ色の旗がふられている。

そうこうしてハーフタイムである。これがまた凄かった。
まず、子供エイサー隊の演舞。次に、スポンサーであるらしい沖縄ペプシのキャラクターであるペプシマンが登場。このペプシマンがバックスタンドあたりにいくと子供たちがおっかけるおっかける。控え選手が練習しているのだが、なんと子供たちはペプシマンをおっかけてピッチの中にも進入。主宰者側の誰も止めず。ほとんどウチナー結婚式の余興みたいなノリになっていた。
後半、長崎が一点を返そうと反撃に出る。4バックの両サイドが果敢に上がる。3バックの琉球の右サイド、元ヴェルディの某選手が正直穴だったことを察知したかのように左サイドから重点的に攻める。この某選手、足元がまずダメで、守備意識なく、でかいのに対人も弱い。見ていて良く使ってるなあ、と思っていたのだった。
ところが、この某選手から逆サイドへクロスがあがり、これをダイレクトで受けたFWがトラップしてシュート。なんと2点目をとってしまう。それまでダメダメだった選手が一転ヒーローになること。こういう試合は勝ち試合になる。

試合はそのまま2対0で終了。バックスタンドに陣取った応援団に挨拶に行く琉球の選手たち。するとバックスタンドから子供たちがピッチに大量侵入。芝生の上を走り回り、選手を捕まえてサインをねだり、ゴールを使ってシュート練習をはじめる始末。ヒーローインタビュー(インタビュー用のバックボードがあった)の時にも、取り囲むのは報道陣数名。あとはガキの大群。本土では即刻大問題だろう。
柏でピッチに入ったとか飛田給で落ちたなどといったことは、「だから、なに?」、だ。日本のフットボール界ではあるまじきことなのだろうが、うちなー的に「だっからよー」で終りのはず。これでいいのではないだろうか。そんな気がする。
終了後、スタジアムを出て、謝苅一区の若手エイサー隊の演奏を見たり、ビーチを歩いたり、北谷グスクの拝所へいったりしたあと、コザへと戻った。