島うたの小ぶしのなかで
コザのとある本屋。大通りに面している書店なのだけれどなぜかほとんどの本の背が「古本であってもここまではなあ」というほど焼けていて、ほんとに新刊?と訝るほどの不思議さ爆発。もしかしたら再販制度に背を向けて、消費者に文化を!などというコンセプトで安く売っているのかと思って試しに買ったら定価だったという本屋。
その本屋で、しまうた業界の重鎮のひとり上原直彦氏の1995年に上梓された<島うたの小ぶしの中で>という本をみつけたのが去年の11月。買おうかどうしようか、その時迷ったのだが現金の手持ちがなくて保留。購入したのは今年1月になってから。11月の時点で、ここはコザだから絶対にこれは売れないと踏んだわけだがその予測が当たった。
ねぐらに戻って紐解くと、今までぼくの知らなかった歌者たちのエピソードや素顔が綴られていてぼくなんかからすると、ひるぎ社のおきなわ文庫の一冊<大城學 沖縄新民謡の系譜>にも匹敵する宝物に近い書籍であることが発覚。その本をねぐらに忘れ東京へ。やっと先週から続きを読んで読了した次第。きっと、民謡関係の書籍だから、コザから離れたくなかったんだろうと勝手に納得。
とにかく鬼籍に入った歌者から今も活躍する歌者まで、彼ら、彼女らに関する話がこれでもかと活字化されている。氏は琉球放送のラジオ局でアナウンサーとしてプロデューサーとして、そして島うたの作詞者として生きてきた方なので、経験に裏打ちされた数々の事実は沖縄の音楽を見ていくうえで貴重。どうやらこの書籍はもう絶版らしいので、多くの人が読めないというのは残念でならない。
上原直彦氏はいくつかの著作がある。もっとも最近のそれはキャンパスレコードのWebで連載されている文章をまとめて昨年上梓された<浮世真ん中>。今も毎週更新されているので沖縄における業界の感性と意見が垣間見えるという意味で興味深い。
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