勝連グスクで、心地よい「気」をもらった後、西原のY字路のところでタクシーをつかまえ、
「安慶名のエンダーまで」
と、中部協会タクシーの運転手さんに告げる。
タクシー免許と本人の姿があまりに違っていたので全員首をひねっていると、前原高校を過ぎたあたりで、運転手さんが
「右曲がります?」
「うん。市役所の方から行って」
と何気に答えてしまう。内心、「具志川の地理がわかっていてもなんの得にもならんなあ」と思っていたのだけれど、「無駄なことは覚えるのはクセだからしょうがない。まあそれもよし」と、何が「よし」かわからないが、勝手に納得。
ほどなく前方右にエンダーが見えてきた。
午後7時頃に行くという約束までまだ1時間半ほどあるので、エンダーでルートビアを飲んでだらけることにする。あいかわらずクセになるまずさ。そういえば最近エンダーでルートビアを飲んでいる人も以前より少なくなってきた。健康志向ということか。あのオレンジジュースが健康とは思えないが。
6時半になって、エンダーを出た。やはりお呼ばれしたなら土産のひとつももっていかねばなるまい。お祝いなのだから泡盛の一升瓶ということで納得してもらえるのではないかと勝手に考え、安慶名十字路そばの県産スーパー“ユニオン”へ。店内で泡盛を物色する。
しかしこれといった銘柄がない。そういった場合地元の泡盛を選べばとりあえず無難ということになるわけだが(コザなら「かりゆし」、名護なら「國華」とか)、なんともはや具志川市には泡盛の蔵元がないのである。迷ったあげく、ラベルが金色で目出度い雰囲気であるし、先日の今帰仁の大会では勝利した牛主に振舞われていた「美しき古里」の30度でお茶を濁すことにした。いいのかどうかわからないけれど。
“ユニオン”を出て、おばぁたちの家へ向かうためにスーパーの客待ちしていたタクシーに乗り込み、住所を見せ「天願橋を渡ってブタイのところを右にいったあたりらしいのだけど」とか、「あかりパンダの家っていえば判るといわれたんだけど」などと運転手さんに伝える。
んが、運転手さんは場所がわからない。おばぁたちは「すぐわかるから」と言っていたが、これは難航しそうな雰囲気が漂う。まいった。よくあることなので驚きはしないけれど、さすが沖縄のおばぁたちの思い込みパワー炸裂といったあたりなのだった。
それでも運転手さんは「探しましょうね(探しますの意味)」と車を走らせる。天願橋を渡ってキャンプコートニーの十字路を右。車は坂道をあがっていく。その間も運転手さんは無線で場所を聞いている。だんだん申し訳なくなってきたあたりでさらに
「メーター止めましょうね(メーターを止めますの意味)」
と、メーターを止めてしまう。車は街灯もない真っ暗な道を下ってから一旦停止。運転手さんは無線に集中である。いやはや申し訳ない。運転手仲間に聞くがわからない。そして最後に本部に住所を伝えだいたいの場所を把握することに。
数分後、本部からの無線が入り、だいたいの場所がわかったようだ。車はUターンして、数分走って止まった。
「ここだと思うんですけれど。とりあえず待ってますから、確認してみてください」
と運転手さん。申し訳ない。その家はかなり立派な家で中では酒盛りしている男衆の姿が見える。たぶんアタリだろう。やはりそうだった。運転手さんにお礼をいって料金を払う。沖縄中部地区のタクシー運転手はいい人が多いというのは本当だ。よい人に出会えたということだろう。
さて、いよいよ、「あかりパンダ」の家に突入である。しかし、おばぁたちに言われたとはいえ、どうやって挨拶して入ればいいのか悩むところだ。(つづく)