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sabato 30 ottobre 2004

彼の死

イラクで民間人の死者が出た。ご冥福を祈りたいというぼくは確実にいるけれど、それは悲しみに打ちひしがれている家族や関係者の気持ちを逆撫でしたくないという気持ちからでしかない。正直に言えばしょうがない。それだけである。

忌憚なく口にすれば、この亡くなった子は無知だ。ほんとかどうかしらないが、イスラエルのスタンプのあるパスポートでアラブ圏を旅しようなど、あきれて物が言えない。危険な状態にある国に物見有山的な気持ちで入ろうなど、なにをかいわんや。

かつて、世界を右往左往していた20代のぼくも、イスラエルのスタンプは「パスポートを汚す」ということで、アラブ諸国へ今後入国する予定があるなら、当該の旅の最後にイスラエルへ入国し日本に帰国後即刻パスポートを再発行するという「常識」があった。それが20世紀に生きる人間としての「あたりまえ」の行動だった。そして今も、というか、今だからなおさらである。そのくらいのことは判っていない人間が日本を出るということ自体が大きな問題だろう。

程度の差こそあれ、現代日本の20代前半から30歳前後の子達はこの亡くなった子と同じように(もしかしたらそれ以上に)無知な上に、他者の助言や努力を真摯に受け止めず、自分だけが正しいと思い込む傲慢さを持ち合わせているので、こういう結果になるのはよくわかる。

ちょうど親の世代は団塊世代だ。結果として親の因果が子に報いということになってしまったわけだが、やはりD2(団塊2世)は、今までの日本人とは計れない人的塊であるということを確認できただけ、彼の死は意味があることであろう。それくらいの意味をもたせないと彼が生きてきた意味がない。ほかになんの意味もないからだ。

イラクはもともと日本と血のつながりがある国であるし、ヨルダンは皇室同士友好的なつきあいをしている。おまけにイラクとヨルダンの為政者はかつて兄弟だった。そういった歴史的な事実、つまり、現代においても、通用する親和的プロトコールの中にあった国家関係が、D2の子供ひとりのために無に帰するとしたらそれはぼくやあなたにとって大きな損失だ。

団塊世代やD2のかわいそうな子達の中には、弔い合戦的な気分からイスラム嫌いが生まれることもあるかもしれないが、そのあたりはきつく自重しなくてはいけない。団塊世代が性行為によって生んだ子供が行った行動と死が、単なる「無知」から起こったということを肝に銘じるべきではないだろうか。団塊の世代は、そういった無知なD2世代の子供に育っててしまった自分を呪うべきであって、日本や、日本列島人や、アラブの人々をうらむのはお門違いである。怒りの矛先はあなた方自身なのだから。

団塊の世代は競争のための自己顕示欲を行動原理として生きてきたことはぼくは理解している。

それはあなた方の罪ではない。第二次大戦による人口動態の急激な変化とそれを要因とする生物学的な一次欲求の産物なのだから、改めていうが、あなたがたのその捻じ曲がった人としての生き方はあなた方のせいでない。

つまり、個としての人間を前提とした理性的な理由はひとつもないのだ。動物がたくさん生まれたか、そうではなかったか、その違いだけなのだ。団塊とは塊ということであって、動物として数が増えたというだけの世代で、その動物的な行動原理に理性が勝てなかった世代というのが正しいのだ。

今回殺された子は、そういった世代の2世なのだから理性と情報を駆使して行動するなんてこできるわけがないというのはよく判る。無理だろう。しかし、その結果でまた数にモノを言わせた動物的反応を行わないこと。お門違いの反応をしないこと。それが人として唯一できる、あなた方団塊の世代と、その子供の世代にできることだ。それ以外は理解できないだろうから、じっとしていているのが適当である。

少なくともぼくやぼくの世代は団塊の世代の酷さや幼稚やさをイヤというほど見てきて、ある意味、達観している。そしてその子供の世代なのだから、似たようなものだろうということもよくわかっているし、実際そうだということを何度も経験してきている。今回のなくなった彼の年齢と親御さんの年齢をみて、話がわかりすぎるくらいわかりすぎたので思わず苦笑いさえ出てしまった。

モノは壊れる、人は死ぬ。しかし、美しい死は、真摯な生き方にしか宿らない。少なくとも、団塊の方々と、その2世には現状そういった美しい最期は訪れることはない。それは、今回なくなった子が証明している。そういう意味で彼の死は21世紀の日本をよく表していたということにはなる。彼に生きてきた意味があっただろうし、この点についてぼくは彼に感謝をして、冥福を祈りたいと思う。

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