実は、と改めていうほどのことでもないのだけど、ぼくはマテウスが好きなのだ。いや好きでは足りない。敬愛しているといっていい。おかげさまで80年代最後の年は幸せだった。そのマテウスと先日の試合終了後、親しげに挨拶をしてたのが現日本代表監督のブラジウ人だった。このあとシャツ渡しが起きた。
日本A代表がチェコにアウェイで勝ったということは画期的な事件に等しい。もちろんこのくらいのパフォーマンスを日本選手が出来て当然というくらいにはなっているので個人的には衝撃的というほではない。逆に考えると、「このくらいのパフォーマンスを日本選手が出来て当然とは夢にも思わない」チェコや欧州の人々からすると「衝撃」以外の何ものでもない。日本にとって意味ある勝利だった。
また、ぼくとしてはチェコの選手が試合中に見せていた達観した雰囲気も興味深かった。「やることやれば勝利できるさ。あれ?なかなかやるな。いいシュートだったな。ま、練習試合だからいいか」。そんな雰囲気だ。これには多分に現日本代表監督のブラジウ人の存在があるようにも思う。何人かのチェコ選手も言っていたみたいだが「現日本代表監督は子供の頃、アイドルだった」と。「あの人が監督のチームだからな」、と負けもそれなりに納得できたのではないか。
続けるにしろ辞めるにしろ、こういった、現日本代表監督の「世界への顔」は日本のフットボール戦略上まだまだ重要じゃないだろうか。戦術や選手起用、練習に問題があるとしても、これだけ「世界への顔」を持つ人間はそうそういない。少なくともぼくの場合は育った場所をのぞくとミラノと香港とミュンヘンとソウルと沖縄のそれぞれ一部で顔が利くだけ。マテウスとピッチで肩組んでもらえないし、チェコの選手からアイドルだったなんていわれることもない。おそらくかなりの確率で日本人のほとんどがぼくと同じ対応になるはずだ。
ご存知のように日本のフットボールのことなんぞ欧州や南米で評価する人間なぞ少数。大方は「しらない」。ハンガリーのマスコミが日本を舐めたなんてあたりまえのことだ。舐められたと怒るよりも「そういう事実」をどうしていきたいのか。そしてそのためにどうするか。そのどうするかという今後の動きのために、何を生かしていけばいいのかが大事。傲慢は損だ。謙虚にならなくてはいけないのが日本の立場。あれだけアメリカに媚びへつらっているんだから、そのくらいできるはず。その点からするとあの代表監督の怒りは真っ当だ。日本が舐められるのは結果でしかないのだから、負ければ舐められたまま。それに文句をつけただけだ。自分の地位保全もビジネスなので当然あるわけだが、日本のことを思ってというのも数パーセントはあったと信じている。
フットボールはピッチ上の戦いだけでなく、それ以外の問題が結果の半分ぐらいを占めている。たとえばマッチメークの問題やら、相手国のマスコミ対策など。今回のように相手チームに与える影響力も。もちろん日本の協会の人もそのあたりやるだけのことはやっているだろうけれど、現日本代表監督にはかなわない。かなうわけがない。ブラジウ人で世界の顔。自国開催のワールドカップでGLを初めて抜けたという国ならば、まだまだ利用できるというかしなければならない存在だ。
親しい人にはいっていたがこの世界の顔のブラジウ人が日本代表監督になった時の感想は「やっちゃった」である。正直もっと適任者がいたようにも思う。ただ決めちゃったのなら、徹底的に利用し尽くすべき。代表監督の方も日本を利用しているわけだから、ギブ&テイク。そうしなければもったないというかそれが世界ではフツウの考え方。まだまだ利用できる。前のフランス人より一億倍顔が利くのだから。そして、彼もそれを望んでいるはずだ。ブラジウ人のプライドと行動原理がそうさせる。
日本には経済力を背景にした金と「世界の顔」があるんだから無理を通そうと思えば通りやすくはあるのだから。その無理を通すのをフットボールの世界では正々堂々というわけではある。
もちろん、試合に出てない外国リーグ参加選手重用は問題だと思う。またJリーグの選手でも個人的なぼくの好みをいえば左サイドバックでブラジウポルトガル語ぺらぺら日本人を、いつも使うのもどうかと思う。三浦だろ、普通。久保と藤田も結果を出してるし、玉田はよかった。田中のCBはずっと望んでた。いいじゃん。このあたりの起用は拍手。選手起用の好き嫌いはいろいろだから、強くはいわない。結果が出ればいいのだ。
W杯予選も苦戦しているようだが勝点3ずつ獲っている。日本の人は、そんなに簡単な試合だと思っていたのだろうか?。W杯予選を。それで内容が悪いといっている傲慢さはちょっとひく。確かにチームが機能しているとはいい難いわけだが、ラッキーだったとはいえ結果は出ている。出なくなれば考えればいい。内容どうこうではない。結果がW杯予選のすべてなのだから。
おそらくインド戦も勝点3を必死に取りに行くとする。するとアジアカップあたりが評価対象になるんだろうけれど、この大会も日本の選手の実力と心の強さを信じるとすれば、四川の盆地の湿気と暑さ対策をきちんとできるかどうかはポイントだけど、早々の敗退はあまり考えられない。レギュレーションを見てもそうだ。GLで2位でいいわけだから。代表監督をどうするかは、それからまた考えたらいいのではないかな、と思ったりもする。
よってたかって監督をパッシングするだけでは代表チームは強くならないし、監督を崇め奉るのも論外。きちんとビジネスライクに結果を出すためにどういうメリットがあるのかデメリットがあるのかを考える。そう考えたとき、ぼくはメリットの方がまだまだ多いと思うので、支持ではないが、結果が出ている間は続ければよいという立場になるんだと思う。
それに再びむしかえすが、ハンガリー戦後の怒りは計算づくだったのかもしれないがとても面白かったし。つまんないより面白い方がいいのだ。おまけにぼくはブラジウ人が嫌いではない。そのいいところも悪いところも嫌いではない。ブラジウ人なんだから。結局理由はそこか。ブラジウ人なんだからその行動原理をわからないと…。それでも現代表監督は、相当折れてると思う。なぜか金で雇われている身だから。あたりまえのこと。だから日本のみんなももっともっと彼を利用し尽くべき。もったいないから。
あと玉田のシャツコレクションがへっちゃったかもしれないという点はかわいそうだった。どうなったのだろう?